弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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保護及び対策課その参拾九~ラブコメ編~

改 9/23
参拾九
 全く。学校の教師群は何を考えているのやら。中学生の男女を私用として、買出しに行かせるなんて。お金は無論、学校負担だけど。それでも、何かスッキリしない。
 どんな格好で行けばいいか分からず、何故か保対課の制服。一応これが公式なんだけど、今となっては誰も着ていない。科学の粋をいくら集めようとも、完成しない至極の一品なんだけどな。
 前までは、面倒だから男女統一ってことで、普通のスーツを象ったわけだけど、恐ろしく着心地が悪かったので、今では男女で分かれている。今私が着ているのは、普通のブレザーといった感じ。個人的にはセーラー服の方が動きやすそうで良かったんだけど。
 十六番街。目の前にはイズレ・フォレストという巨大なデパートというか、ショッピングモール。 高さ三十五階、地下四階。敷地面積東京ドーム三個分。そのうち三分の一が駐車場で、残りは一部フードコートと、倉庫と社員休憩室を除いて全て店という、トチ狂ってバカでかいショッピングモールだ。
 でかさと比例しているわけでもなく、意外と売られているものは安いらしい。何故か学校側がここを指定してきたのだ。決して近くは無いし、近辺で買えるというのに、重労働をさせてくれる。
 開店五分前とい時間帯を選んだのは、微妙に空いている時間にぱぱっと済ませてしまおうと考えたわけだ。駐車場にはたくさんの警備員が立ち並び、色々と誘導している。ビル等に囲まれたこの土地は、公園の池にある小島のような感じで悪く言ってしまえば孤立しているように思えた。


「悪い、待ったか。」
 ぴったり五分前に武寛は姿を現した。なんとなく想像がついていた、あんまり自分の体裁を気にしていないような服装。なんとなく私は見て安堵してしまった。
「ううん。今来たとこ。」
 と、私も超恒例ともとれる台詞を言った。実際のところ、緊張しまくって十五分ほど前に来ていたんだけど、いえるはずも無い。
「んじゃ行くか。」
「あ、うん……」
 来るなりそさくさとイズレ・フォレストに向かって歩き始める武寛。私は慌ててその後を追った。
 そんなデカイショッピングエリアの開店時間は存在しなくて、常にどこかしらが開いているといった感じだ。だけど、一番人が訪れている食品売り場の開店時間がどうやら公式の開店時間らしく、その入り口には長蛇の列ができている。毎日日替わりで何かしらのバーゲンが行われるらしい。ただ、私の目にはその並んでいる人たちには悪いが、暇人にしか見えない。
 あの狂言の時につけられたという傷は、目を凝らしてみても分からないほど目立たなくなっていた。のぼりとかそんな広告の様なもので、うまく隠しているようだ。
 私は、そのビルの中に入ると、懐からメモを取り出した。買うもののメモだ。普通、大道具の材料はダンボールとか、そういう身近なものであって、大道具の材料は絶対的に買う必要は無いと思う。でも、うちの学校はそういう常識は通用しない。
「……どうした。」
「え?何が?」
 武寛が立ち止まって目を眇めて私を見てきている。
「今日はテンション随分低いな。なんかあったか。」
「な、何……そんないつも私テンション高いっけ。」
「そういう意味じゃねえ。」
 武寛はそう言うと、私の手に握られていたメモを下から掠めるように奪い取った。
「あっ」
「さっさと買って帰るぞ。」
 私は、そさくさとそう言ってお目当ての場所を探し始める武寛を見てむくれた。
「ちょっ……」
「ほとんど百均で揃えられそうだな。わざわざこんなとこまで来ること無かった。」
 武寛は、メモを見てそう言った。
 確かに、そんなたいしたものは載ってない。ペンだとか、マジックだとか、セロハンだとか、ほとんどそういった当り障りのないものばかり。
「仕方ないでしょ。学校指定なんだもん。」
「意図がわからねえな。どうしてわざわざこんなデカイとこ来なきゃいけねえんだか……。」
「いいじゃん。私もちょっと興味あったし……」
 膨大な敷地を持ってる上、それが三十云々も重なってるわけだから、総販売面積は三十センチものさしで測っていったら何年掛かるか分からない。そんな怪物に、私が興味を持たないわけ無いじゃない。
「学校提供資金が一万か。俺たち相当信用されてんのか。」
「そんな訳ないと思うよ……。そうだったら、絶対人気でるし、変な人になってお金盗られたりしたら大変でしょ?」
 無論、信用度の問題だと思うけど、学校がこの場を指定したのは、やっぱりそうだと思った。私が普通の女の子だったら、知らずにいられたんだろうけど……翼が敏感なんです。
 後ろに妙な人が居る。
 サングラスをして、本を読みながら私達の後ろを附いてきている。
「ねぇ……あれ、おかしいよね……」
「ん?何が。」
 武寛は気づいてないみたいだ。気づくと、あぁそうかって感じだけど、気づかないと徹底的に気づかない、そういう類のクイズみたいな感じだ。
 そいつは、熟練者らしく、うまく場に溶け込んでいて違和感が無い。でも、私たちに明らかに歩調を合わせている。本を握っている手は、一つのページを凝視している目に忠実で、ずっと本のカバーに添えられている。
「……あれは織田センじゃねえか?」
 その旨を武寛に教えると、武寛は合点がいったようにそう言った。
「誰?」
 知らなかったから訊いてみると、武寛は顔を歪ませた。
「お前……本当に教師の名前覚えないよなぁ……。一応三年間一緒だぞ。あれとは。」
 私の場合は、教科の印象で教師の顔を覚えているから、名前にはどうしても関心が行かない。
 私はそのサングラスの裏の顔を見よつと思って、立ち止まって後ろを向いてその織田とかいう教師を凝視した。びくりとして、顔を下げたままその影も立ち止まる。
「お、おい!」
 剃刀に手を伸ばした子供を止めるように武寛が小さく叫んだ。
「なに……わっ」
 手をぐいっと引かれた。
 広さゆえの人口密度が低い店内を、なんというか、ラブドラマによくあるような、私が後ろ手で手を引かれて、引きづられるように歩き、武寛は逃げるようにして私を引っ張る。さながら急流を流れる丸太といった感じ。んにしても、どうして急流に丸太が流れてくるってイメージがあるんだろうね……。
「な、何?」
 トイレの前まで連れてこられて、私は混沌とした脳内で紡ぎ出された疑問をぶつけた。武寛は顔をしかめて、いった。
「何じゃねえよ。何してんだよ。」
「だから……何で……っ。」
 舌噛んだ。
「あいつとプライベートで関わろうとすると、酷い目見るぞお前。」
「な、なんでよ!」
 私は基本的に、先生とは先生としか付き合わないゆえ、彼らの生態……日常に関しては干渉しようが無い。どうなんだろう。ペットの犬とかは、ペットというよりは犬として付き合うことが多いとかそういうものかな?
「ところで、織田(おだ)ってだれ?」
「英語の教師だ。覚えとけ。」
「えいご……。」
 あぁ……英語の教師らしいあのハイテンションな人か……自重とかいう言葉を知らない家に置きたくないとか友人君が言ってたっけ……。
「てか、お前人の名前覚えなさ過ぎだろうが。(やなぎ)のだって社会教師としか認識してないだろう。」
「え……うん。」
「それは止めたほうがいいと思うぞ……。高校に行ってから困ると思う。」
 トイレの人気は皆無に等しく、店内BGMが寂しく響き渡っている。あ、と、トイレの入り口付近だから今居るのは。
「どうして……?」
 私が偽者の後ろから本物さん登場くらい定番に訊きかえすと、武寛はぐいっと視線を逸らした。
 不自然に思って、視線と反対方向に脊髄反射で視線を向けると……織田が居た。
「んーお二人さん甘いねー。」
 第一声がこれ。顔がニヤけているのならまだしも、真顔でサングラスの裏から真摯な視線を私にジロジロあててるという、ギャップが私の混乱を大きく拡大させる。
 二十代半ばとも取れる容姿。背は私より少し高いくらいの、割合小柄な人。
「何の用ですか……またエロ本読みにきたんですか。」
 武寛がげんなりとしたように言った。
「え、えろ…………」
「下品な言い方すんなって。官能小説っていうんだよ。」
「かかか……」
「連れが壊れそうだから、口を噤んで回り右して学校行って吹部に行ってください。副顧問として何もしてないでしょ。」
 織田先は、知らない単語を受理できず、エラーのループに入ってる私を尻目にはははと快活に笑った。
 それから初めてカバを見た犬みたいに怯える私を見た。
「桜木さんだっけ?大丈夫、僕はそんな上品なもの読んでないから安心してくれ。」
「じょ……」
「やめてください。」
 武寛が言いたかったことがよく分かった。授業もそうだけど、日常もそうなんだ。この人は。
「んで、恒例行事として、カップル誕生率の高いこの仕事の監視役を引き受けた訳ですか。」
「だってさ。竹島君が自分からそんなピィって手を挙げるなんて珍しいし。」
「カップル誕生率って何?」
 私が目を白黒させて、武寛に訊ねると、彼は思いっきり肩をすくめた。
「教師陣が勝手に作った奴。」
「はは。簡単に言うとね、この仕事を引き受けた男女はラヴラヴになるっていう伝説が二年程前から定められたんだねー。事実、このプロジェクトによって誕生したカップルは多いし……」
「えと……じゃあ、先生たちの好奇心を満足させるために、ここに指定したんですか……?」
 私がおずおずと訊ねると、織田先は面白そうに口端を舐めた。
「もちろん、主目的は副目的だけど、主目的はそうなるね。」
「……?」
「表向きは、金銭の悪用をしないように見張るために派遣されたが、本来の目的は、その男女を見張るために派遣されたようなもの……って訳だ。」
「あぁ……」
 つまり……、この行事が不人気なのは……この人達のお節介によるものだったらしい。
「えと……そんなの監視してもし成立したとして、それで先生たちは何をするんですか……?」
「何も冷やかしたりはしないさ。ニヤニヤして見守るだけ。」
 単なる野次馬的好奇心がこれの目的の大半みたいだ。
「うん。いわば、僕は。ほら、よくテレビの特番でやってるでしょ?あの、伝説の検証だとかそういうドキュメンタリーが。それと同じ。ちなみに去年は不成立。」
「は、はぁ……」
 バレただけだと思うけど……あからさまにおかしかったし。
「てか、俺たちに姿晒していいんすか。」
「うん。今年は成立だからねえー。」
 へ?
「輝け少年少女達って奴だね。今年は君たちでよかった。ってか、結構そういう気匂わせてたし。予想はついたけどね。」
「ちょっ。待ってください!なんでそんな事になってんスか!」
「だって結構会話弾んでたじゃん。」 
 武寛が餌を取り上げられた鹿のように強烈なタックルを喰らわせるが、闘牛士みたいにあっさりかわされる。てか、あの程度で弾んでるっていったら、今までの人達ってどれくらいシケてたんだろう……
「うん、それに桜木さんの格好が何よりもねぇ……」
「あっ」
 織田先に指摘されて、私は思わず声を上げてしまう。
 少しぶかぶかのこの制服は……勝負服にみえた……てかみえる……てか……
 私が意識したの?
「うん、だから竹島が意識して無くても、ってやつかな。んじゃ。」
 結局何しに来たのか分からずに織田先は去っていった。
 二人でその誰も居ない空間に残されて……後ろで怪訝そうに眺めている掃除のおばちゃんに、私たちは気づけなかった。


あとがき及びスーパー言い訳タイム
後書きっつか……報告を……
先日、友人がこんなことを言いました。
「お前、よく一つの話の中にあんなに書けるよな。」
個人的には、容量を意識して一話8~15KBを目安に書いてます。その塊が三十近くあつまると、一冊の本になるのです。つまり、文庫本を読んでいるのと同じような感覚だろう?と言うと。
「目が疲れる。」
とのこと。ですよねー。まぁそれはクスリと同じで、用法容量を守っていれば、疲れないと思います。いいわけいいわけ。
「しかし、アレ(保対)の序章酷いだろー」
と、冗談めかして言ってみたところ。
「あぁ、酷いね」
と、さらりと言われたので、家に帰って慌てて読み返してみると、ありゃーこりゃまずったわーってな感じ。
只今推敲中です。作風はがらりと変わってコメディ路線が超シリアス路線に。セリフもネコのカッコヨサも大分変わります。もちろん……推敲後の方がカッコイイと思われますが。

いいたいことはそれだけです。
近々壱話から八話までの再UPがはじまると言う事をお伝えしました。

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/23(火) 15:44:17|
  2. 保護及び対策課シリーズ
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プロフィール

可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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