弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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保護及び対策課その壱~序章編~推敲ver

比較用
どっちが良いか、指摘して下さると光栄であります;;
あと、過去に書いた、それぞれの話の頭と尻にある雑談も撤去予定です;ゞ



 夜明け。ぎらぎらとした日光が照り付け、町の白い部分が増えていく。
 まだ正体が掴めぬまま、ゆっくりと体を起こす。妙に体が堅く感じる。慣れないまま宇宙服を着せられたような。
 思考が安定している。これが人間と言うものなのか。目に付いたもののほとんどの名前と、その用途が手にとるように分かる。
 自分の四肢を見ると、肌色の薄い表皮に覆われた我の体がある。うまくいったようだ。
 うまくいった?何が?
 自分で意味の分からぬ言葉を心の中で浮かべたことを悔やみ、忘却すべく周囲を見渡す。
 我の体に起きた異変。それは神を信じる人間にとっては、恐ろしく存在して欲しくはないと思ったこと。
 朝陽が照らしつける我の体は数時間前と大分違う。
 普通の人間の体(てい)。それに、異形なるものがついているだけ。
 頭に、二つで一対の猫の耳。尻の少し上には一尺ほどの長さの尾。双方とも黒く、光を佩びて禍々しい白に見える。

「だれ?」
 ふいと声が掛かる。幼いところを垣間見せるが、少しは大人らしく響く声。
 振り向くと、我が主がそこに居る。
 我は、成りたて。所以、生まれた時の姿でここにいる。
 だが、それに臆する様子も見せず、燦然とそこに佇んでいる。我が主。
 今宵、彼女は中学三年生。我が生まれた時から、共に大半の時間を過ごしてきてきた。名前は代名詞を用いて呼ばれているため、我は本名を知らない。だが、それは関係ない。
 主は、我をみて驚くように目を瞠った。だが、我とて、主の行動は読めない。
「あ、もしかしてきと?」
 彼女はずばりと、我の正体を当てて見せた。予想外の反応に少し身じろぐ。
 きととは、その通り我に与えられた名。彼女の祖父母の名前からそれぞれとっているらしい。それが意味するところ、彼らはこの世には居ない。
「そのとおりだ。」
「あー!やっぱりー。そうだと思ったよ。その耳とか尻尾とか妙に似てるなぁって」
 我は眉を顰(ひそ)めた。あまりにも無邪気すぎる。ここまで酷いとは想定の範囲外だった。無垢の極みを生きる典型である。
「んーやっぱりまだ朝は寒いねぇ。お父さんの服あるかどうか見てきてあげるよ。」
 彼女はそう言うと、駆けていってしまった。一人また取り残される。
 彼女たちの住むこの家は、主の叔父にあたる者の所有物であり、今はその娘、主の従妹にあたる者と二人だけで住んでいる。豪邸とは言わないまでも、そこそこの大きさはある。
 家の大きさとは関係なしに、遺産は相当な量が残っているらしく、彼女たちは働かずして暮らしていけるらしい。働こうにも、両者とも義務教育を終えていないので難しいが。
 だが、我を飼い始めたのはやはり寂しいところがあったのだろう。
「ごめん、待った?」
 颯爽(さっそう)と、何やら黒い布切れを両手に抱え込んだ主が現れた。
「ごめんね。これくらいしかなくて……」
「構わん。恩に着る。」
 そっけなく言って、受け取ったものを順序よく着ていく。よく分からないが、よく観察すればどこをどう通せばいいか大体分かる。
「うん、似合ってる。」
 主はそう言ってにっこりと笑った。なんと朗らかな笑顔だろうか。気の抜かれた男なら骨を抜かれかねない表情だ。
「んじゃ、家入ろっか。」
 主は一人でそう言って歩き出す。我も従おうとしたが、上手く二本足だと歩けない。今まで四足だった故の悲しき習性である。慣れるのに半日ほど要しそうだ。
「あ、大丈夫?足はこれで拭いて上がってね。」
「あぁ。」
 主が真新しい雪白の濡らした雑巾を玄関先にぺちゃりと置いた。もう少ししっかりと絞ってほしいものである。
 足をその雑巾に載せ、足の裏の汚れを拭い主に従い居間に向かう。しかし、そこでもう一人の住民と会った。
「あ…………ぁ……え?」
 ピンク色の枕を左脇に抱えた、パジャマ姿の従妹君が居た。表情は見るからに混乱を湛えている。最初に見つかったのが主で本当に良かったと思う。
「あ、え……どなたさま……」
 縮んだ瞳孔でちらちらと両側頭部より少し上についた耳と、ズボンからはみだしている尻尾を見ている。これが常人の反応だろう。分かっているから咎めたりはしない。主が異常なくらいの能天気なのだ。
「名前など無い」
 意地悪に負の意味の意味深に答えると、彼女は泣きそうな顔になってしまった。
「きとー何してんの?」
 主がひょっこりと顔を覗かせた。
「あぁ、想(そう)を苛めちゃ駄目でしょ」
「苛めたわけでは無いが……」
 どこでそんな情報を仕入れたのか分からないが、主は我の尻尾をがっちりと握って怒ったように言ってくる。敏感な部分なので、握っているものに逆らうわけにはいかない。ちなみに想というのは従妹君の名前。
「き、きと?」
 従妹君が、きょとんとして言った。
「うん。そ。マイキャットアズペットだよー。」
「過去形にしておいてくれんか。」
 相当失礼にあたる言葉を、顔をしかめて窘(たしな)めると、主は、はははと笑った。
「え、え、なんで、どうして?」
 状況が掴めぬらしく、従妹君は目をきょろきょろさせながら答えを求めてくる。
「とりあえず、ご飯にしよっか。今日は学校だから遅刻しちゃうよ。」
 その正論に、場が流れた。

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  1. 2008/09/23(火) 17:22:35|
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可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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