弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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「時間が待ってくれる」ってどういうことなの

 金曜ロードショー「時をかける少女」を観た。
 ずっと個人的に思ってたことなんだけど、細田守監督作品三作のあとにターミネーター3って並べた時にすごい面白いと思うんだけど、誰も賛同してくれない。
 いつも通りにネタバレ注意表記のレパートリー尽きたし、そろそろ警告しなくても良い気がしてきたが、まあ一応。

 「Time waits for no one.」←(゚ Д゚)ハァ?
 時は待たない。時は待たずに、人が待つ。「待っててくれてありがとう」と、「未来で待ってる」。
 時が待たないのは当たり前の話で、待つ「wait」という単語は欲望する「desire」と根っこを同じにしているからだ。キリスト教では「神を待ち望む」ことをdesireと言ったものだから、どんなに清貧な信徒であっても欲望者と自らを名乗ることになっていたが、その実態はwaitである。欲望がなければ、何者にせよ待つことはしない。時に欲望があったらそれはそれは恐ろしいSF的な仮定だけれど、「Time waits for someone」となるかも知れない。うん、あれ? ちょっと待って。これってつまり、この映画のことじゃないかぁ。
 つまり、あのくるみみたいなタイムリープ装置によって、時間がコントロール下に置かれるということは、人間の欲望に時間が支配されるということだ。それは時が欲望を持つのとさして変わらない。
 で、冷静に時を欲望によって支配する、という仮定はヤバイわけ。「ターミネーター」然り、『アウターゾーン』の「タイムスケープ」然り、時をかけるっていう概念はもっと鹿爪らしい顔をして、シリアスに語られる必要性があった。実は恥ずかしいことに筒井康隆による原作を読んでいないのだけど、あまり明るい話じゃないと聞く。SFというジャンル自体がシリアスかギャグかに転ぶしか無いシーソーみたいなもんで、円城塔さんのSFとかは真顔でギャグをしているので面白い。
 で、そんなとんでもない設定を敷きながら、テーマを恋愛(僕はラブコメディだと思ってるが)にしたこの映画は、どうしても主人公がバカにならざるを得ない。難しいことを考えないで、今目の前のことを最大限に評価して、じゃんじゃかタイムリープを繰り返す。かの有名な飛翔のバックにある青空の、なんと広く深いことよ。この空にまことの行動への不安さが、どっこんどっこん反映される。甘酸っぱさなんてものではない、これは不穏さだ。時を欲望によって操るという、ヘタをしたら世界を変えかねない行為の大きさと、まことの欲望の小ささの不釣合いが、何故か吊り合ったまま話が進んでいくものだから、この均衡の危うさにヒヤヒヤとするしイライラする。
 そんでもって、このまことの矮小さと引き換え、千昭が自らの正体を暴露し、渋谷の交差点(みたいなとこ)を歩くシーンは、もっと切実な不穏さを醸し出している。「川が地面を走ってる」「空がこんなに広い」「人がこんなにたくさんいる」「野球がまだある」。そして、彼が見たがっている絵が生まれた背景は「千年前の大戦争、世界が終わ」りそうな時。千昭が帰った未来というのは、滅びてしまった世界なのではないかと伊藤計劃も指摘しているところだ。
 そう考えると、「未来で待ってる」のセリフの切実さ、真摯さというのはただの格好いいセリフに収まらない。「イケメンだから許される」じゃねえんだよ、そういうレベルでしかものを観れない人間の多さにげんなりする。青春の甘酸っぱい恋愛、四次元的な長距離恋愛、けれども通じあっている心の強さ、清らかさ、そういう風に見えるが実際はそうではない。
 千昭は欲望をまことに置いて、未来へと帰った。そこでいつまでも、待ち続ける。時間は待っちゃくれないが、もはや待たせる必要がない。待つのはいつだって、人だ。欲望するのはいつだって、人だ。今まで様々なSFが扱ってきたタイムリープという、否応なしにアイロニカルにならざるを得ないこのテーマのうちに、「欲望」という微妙な要素を、全て思春期の「恋」に押し込んでしまった。「恋は盲目」というやつで、その他のことには全て目を瞑っている。そのくらい狭い世界でなければ、こんなストーリーは実現しなかっただろうし、これほど多くの人に感傷をもたらさなかったはずだ。
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  1. 2015/07/18(土) 00:03:00|
  2. 尋常の日記・雑記
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可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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