弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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「人間」を乗り越える「人間」

 バットマン「ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」を観た。
 2→3→1という順で観たけど、なんにも問題なかった。ネタバレとかいう概念のことはよく知らないが、そういうことがあるかも知れないので注意されたい(思いッきりしてるけど、ネタバレ食らっても遜色のない作品なんで是非)。

 ありえないくらい格好いい。
 アメコミヒーローって、どいつもこいつも謎のスーパーウルトラテクノロジーでスーパーウルトラ最強の俺を作っているけど、バットマンの中の人であるブルース・ウェインはむちゃくちゃ修行してる。ドラゴンボール並の修行量。生まれからしてスーパーウルトラ大企業の社長の息子というスーパーウルトラボンボンの癖して、両親を浮浪者に殺された衝撃から、身を以て犯罪を学ぶために自分から犯罪に走ってムショの中で犯罪者と喧嘩しまくるとかいうダークサイドっぷりを発揮した後、拾ってくれた師匠のもとで修行した挙句、師匠の家に火を放って師匠をボコボコにして帰宅、そのままスポッとウェイン産業の役員の席に着席するとかいう意味不明にハチャメチャな人生。そんでもって子供の頃、コウモリに襲われた恐怖を犯罪者どもにも思い知らせてやろうと、ダークヒーローバットマンが誕生する。
 ラーズ・アル・グールという悪役が実行した悪行って、つまるところ、「一部が腐ったから全部焼却しよう」という発想だ。ゴッサムという街は堕落している、だから街を潰してしまおう! という頭がいいんだか悪いんだかよく分からない思想が動機になっている。それに対するバットマンの反論は「(街が腐ってても)良い人はいる」というとても頼りないものだ。第一、バットマンというヒーロー自体が、他のアメコミ・ヒーローに比べるととても頼りない。地道に積んだ修行と、科学の力で普通の人とのアドバンテージを得ているけど、アベンジャーズの面々に比べたら(女スパイの人と「そして殺す」の人を除けば)「一般人」と認められてしまうようなヒーロー。そして、自らもずっと苦悩しているヒーロー。
 でも、バットマンのいいところはこういうところにある。「ヒーロー」が弱く見えるんだ。頼りなく見えるんだ。それでも、彼は人々を信じている。バットマンは「人間」を信じているからこそ、最後に勝利することができている。「ダークナイト・ライジング」のラストシーン、「ヒーローはどこにでも居る」という彼のセリフが、そのことを非常によく象徴している。彼は「善」の代表として、「悪」と戦っているのではない。「人間」の代表として、「人間」と戦っているのだ。
 ラーズ・アル・グールの「一部が腐っちゃったから、全部破壊してしまえー」という理論は、これっぽっちも人間を信用していない。むしろ、人間を恐れている。「殺人犯が観るようなアニメやゲームは規制しろ!」というような論者と、さして変わらない事を言っているのです。一部を全体と見なす、全体主義者。これではどちらが理想主義者かわかったものではないなあ。
 ベイン(ダークナイト・ライジング)は上下の階層をひっくり返そうと、ゴッサムに核を持ち込む。そして、搾取(というかまあ、収奪)を繰り返してきた上級階層の人々を、片っ端から裁判にかけて「追放or死刑」という頭がいいんだか悪いんだか分からない刑を執行していく。それで革命だ! というわけだけど……これって、別に革命でも何でもないよなあ。ただの暴力の行使、そして抑圧です。それと対峙する(バットマン曰く「良い人」の)ゴードンやブレイクの行動が並行して描かれていくけれど、「家族と過ごすんだ」と頑なになる警察官に、ゴードンが「我々がどうにかするんだ!」と強く言い放つシーンがある。『我々』が、どうにかするんだ! この格好良さよ……なんといえばいいのか分からなくなってきたが、とにかく格好いい。
 ジョーカーという男、ちょっと身近に居てほしくない。バットマンの悪役って、みんなとんでもない過去持ち過ぎじゃないか。ヒーローってこのタイプの悪の前では、手も足も出ないんだ。恐怖に煽動された民衆、という人間の底の前では、バットマンは身動きが取れない。だって、彼は「人間」というものの存在を前提として活躍しているのだから。ラストシーン、タンカーで震えながら沈黙する人々の存在がなければ、バットマンはジョーカーを倒すことができなかった。ヒーローはいつだって、小さな声で助けを求める者の前にしか、姿を表わすことが出来ないのだから。ノーラン監督三部作のうちで、バットマンのヒーローとしての本質が表れていたのは、まず間違いなく「ダークナイト」だろう。「リブート」という企画ならではの、素晴らしい作品だった。

 肉体的に、「バットマン」に出てくるヒーロー並びに悪役は、アメコミ的に大して強くない。多分全員、アイアンマンにワンパンで負けるだろう。けれど、精神的な強さはピカイチだ。ジョーカーとかまず間違いなく、東京を滅ぼせる強さを持ってる。
 そして、我々の暮らす世界に現れるのは、いつだって精神型の悪だ。「人間」を信じられなくなった時、奴らは必ず現れる。その時、まず頼らなければいけないのは、自らに宿るヒーロー、自分自身の「人間」に他ならない。
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  1. 2015/07/29(水) 23:53:27|
  2. 尋常の日記・雑記
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可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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