弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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明日は明日で暴風雨 第七話 黒き英雄たちの遺物

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今日は大切なお知らせがあります。是非とも閲覧するのをお奨めいたします。

続きからどうぞ↓
↓     ↓      ↓ 

 昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いたのにも関わらず、騒動は治まらなかった。
 それはもう、ゴキブリの数は軽く常識を逸脱しているから当然のことである。普通に千越えてる。下手すれば、五桁に達しているかもしれない。とにかく、廊下を歩けばそこらじゅうにいるのである。生物部の連中も、よくぞここまで増やしたものである。
 俺は、ひとまず痛みが収まるまでそこでじっとしていて、痛みが完全に気にならなくなったところで、ゴキブリ駆除をすべく廊下を蹴った。
 廊下を歩きながら、目についた哀れなゴキブリたちを殺していく。一撃で死なない奴には、追撃を加えていく。まぁ、流石に他の奴の制服についたゴキブリを殺すほど、俺は鬼畜でもない。何人泣くんだろうな、それによって。
 俺は漠然とそんな事を考えながら、目についた殺せる範囲のゴキブリを潰していく。もう、生徒職員総動員で、ゴキブリを潰せという勧告が出されているので、皆必死になってそこらを徘徊するゴキブリを殺しているのだ。まぁ、苦手な人にとっては災難であり、ヒステリーを起こしているのも居れば、泣き疲れて座り込んでいるのも居る。姫翠みたいに、偽りの聖剣で無闇に殺していく奴ばかりではないのが、普通なのである。
「た、助けてっ!」
 そんなところに、一人の女子生徒が俺の目の前に飛び込んできた。そして、その後ろには飛んでいるゴキブリが二匹ほど。こんな光景何回見たことか……。
 俺はそこらへんでテイクしてきた濡れた二枚の雑巾をそれぞれ両手に持ち、一匹をそれでプレスする。死亡とまでは行かないものの、これで羽が潰れて落下は免れない。もう一匹も同様。
 ばちゃっという哀れな断末魔を残し、二匹のゴキブリは他界した。
「あ、ありがと……ぅございます」
 ほっと一息ついたところで、俺にそう声が掛かった。振り向くと、例の追い回されていた女子の姿が。名札を確認したところ、一年生の様だ。入学二日目から、不幸なことである。
 その名の通り本当に馬の尻尾ほどの長さの黒髪のポニーテールに、今は少し遠慮がちだが気の強そうな双眸に幼げな印象が残る顔立ち。目を涙で少し潤わせて俺を見上げてきている。
 俺はもう一度、わざとらしく息をついた。
「嫌いなら外行ってた方が良いと思うぞ」
 俺がそう言うと、そいつはこくこくと頷いて、一目散に俺の下から去っていった。
 何度か、あの状況に酷似した状況は見てきたが、露骨に助けを求められて、怖々と礼を言われたのは、今のが初である。
「って……何考えてるんだか、俺……」
 いくらか、自惚れの様なモノが強くなってきたような気がする。……今年は狂乱だらけの年になりそうだ。
 さて、何時間先にこの騒動が終わるかわからないが、仮に終わったとしてもすぐには帰れない。
 なぜなら、ゴキブリを全て排斥したときに残るものは、大量の死骸。それを片付けなければ、明日から登校してくる生徒は大分減るはずである。少なくとも、楽しみにしてくる奴は激減するだろう。
 だから、駆除終了後、直ちに掃除開始なのである。校舎全域に渡ってゴキブリは浸透している為、恐らく掃除には多大な時間が掛かる。となると、帰りが遅くなる。今日はクリーンデイである。家を掃除する日のことだが、今日帰りが遅くなると、居候が増えた分食事を作る手間も余分に掛かるようになり(しかも慣れていない普通の手作り料理である)、その分掃除ができなくってしまう。
 ……そうなると、俺の家で今の状況を再現してしまう結果に成り得ないのである。
 というわけで、俺はゴキブリを殺すペースを早めることにした。
 歩きだったペースを早歩きにして、目についたゴキブリは装備(濡れ雑巾×二)を駆使して瞬殺していく。少し薄情かもしれないが、仕方ないことなのである。
 七十匹ほど殺したあたりで、聞き覚えのある声が聞こえてきた。階下からだ。
「あ、真治。やっほー」
 覗きこんでみると、案の定、姫翠が居た。さっきと変わらずに、テンションが高い。
 しかし、手にしているものが変わっている。箒だ……ホウキを持っている。なんとなく似合わないのは、俺の偏見なのだろうか。
「どう?楽しんでる?」
「これを楽しむ余裕がある奴がいるなら、是非ともそのスキルを世の為に使って欲しいものだな」
 俺は階段を下りながら、皮肉を効かせて言ってやった。
 しかし、そんな詮索スキルを持っていないであろう彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。言葉に気をつけないと、褒めてるのに皮肉られていると勘違いして機嫌を損ねそうだな……。
「おや……これはご機嫌麗しゅう」
 階段を下りきったところで、今まで死角となる場所にいて見えなかった人の姿が確認できた。あちらも同様のようだ。
 誄羅が悠然と木刀を雑巾で拭いていた。既に拭かれて綺麗になっているところは、木製とは思えない程鋭い光を帯びている。拭う技術が卓越しているのか、そのえくすかりばーの性質なのか、定かではないが。本物の聖剣なら何もせずとも光るのか?
「無事で良かった」
 そんな意味の分からんことを考えていると、姫翠が屈託の無い笑顔でそう言って来た。
「ゴキブリに殺される奴もある意味新種だろうけどな」
 俺が仏頂面でそう言うと、ははっと姫翠は笑った。
 その笑顔を見て、俺は一瞬気が遠くなったような気がした。
 何をどうするべきなのか、刹那見失う。
 以前までの俺とは何か違う。こんな感情の逆流、今まで経験したことが無い。俺の全てが得体の知れない何かに占拠されてしまいそうだ。
 ……さっきの手の温もりが引き金になっているのか。俺も単純だな。
「姫様、これで如何でしょうか」
「あ、ありがとーっ!」
 そんな俺の愚念を、誄羅の声が払拭した。
 そうだ。姫翠にはこいつが居るじゃないか。明らかに、こいつと一緒に居た方が楽しそうに見える。俺よりもよっぽど性格も容姿もいいじゃないか。朝の会話を思い出せ。
(──親しみやすいとか、そういうイメージない?)
 別のやつ反芻しちまった。頭がパンクしそうだ。体温が上がってくるのが分かる。
 違う。二人の会話だ。超弾んでたじゃねえか。俺みたいな蚊一匹入り込める隙すら見せずに。
 蚊……俺は、蚊か?ゴキブリよりはマシか?自らの命のために、天敵である人間の懐に潜り込む、果敢な戦士。こそこそと何かをする、ゴキブリや、蝿とは違う。
 な、何考えてやがる、俺!どうしたんだ……
「……大丈夫?目が失禁寸前のシーラカンスみたいになってるけど……」
 気が付くと、姫翠が不思議そうに俺を見ていた。……というか、喩えが下品だぞ。よく分からんし。
「だ、大丈夫だ。さっきのがまだ堪えてるだけだ……」
 全くの嘘というわけではないが、彼女には悪いがこう誤魔化させてもらうとする。
「そう……?無理しないでね」
 と、申し訳なさそうに言うもんだから、俺にだって罪悪感は芽生えるさ。後で償えば良いさ。
「さっきよりも大分減ったみたいですね。そろそろファイナルスパートですかね」
 誄羅が箒を姫翠から受け取りつつ、そう呟いた。
 なるほど、周囲を見渡してみると、死骸の方が生存体よりも普通に多い。もうそろそろ撲滅か。結構掛かったな。生物部、どんな処分受けるんだろうな。まぁ……部長があれなら、普通に不滅か。
「ねぇ、早く終わらせようよ……眠くなってきちゃった」
 姫翠が口を尖らせてそう言った。
 今の時間帯に眠いということは、午後の授業は夢の中で過ごすつもりだったのだろうか。

 だが結局、この騒動はあっさりと終着がついた。
 職員の一人が、ホームセンターにゴキブリ駆除用品を大量に買いあさってきて、それを一斉に点火したのである。
 というわけで、ゴキブリはほとんど逝去。一件落着である。
 今日の授業は中止、各自分担して掃除をして、終わった者から帰ってよろしい、とのことだ。
 俺はゴキブリの体液でびしょびしょになった廊下を黙々と拭いている。
 掃除の手順としては、箒でゴキブリの死骸を撤去してから、雑巾で体液で汚れた廊下を拭いていくというもの。まぁ、妥当な方法だろうな。
 というわけで、箒が初期装備だった姫翠が箒でどっかの「れ」の三乗を連呼するおっさんよろしく、るんるんとゴキブリの死骸(残骸)をちりとりにかき集めていく。仕事の内容が死体の撤去という、聞いただけではとってもダーティーな(結果的には、衛生的な「汚い」だが)仕事だというのに、このるんるん様は少し外観は歪に見える。
 それはさておき、俺達男二人はその跡に残ったゴキブリの体液駆除である。これがまた、気色悪いものである。率先してやる奴は居ないだろう。
 しかしなんだ?俺は原始的な布一枚の雑巾だというのに、何故誄羅の奴はモップなんか使用してるんだ?
「こうなることを想定して、予め職員室から拝借してきまして」
 俺はなんとなく劣等感を感じて、誄羅に訊ねてみると、眉一つ動かさずそう答えるわけである。これではもう勝ち目が……ん……何の話だ。
 ──さて、それから二十分後。
 ここらへん一帯は、造りたてとまでは言わないが、ゴキブリが百匹以上が蠢いていたとは到底想像できないほどの綺麗さに。見たか、俺達の実力。
「それじゃ、私たちは帰ろっか」
 俺がそんな風に、自分の功績に顔を緩ませているところに姫翠がそう言った。なるほど、ごもっともである。さっさと帰って掃除をしなければならない。
「あ、そうだ……」
 荷物を取りに教室に戻ろうとした時、姫翠が何かを思い出したかのように立ち止まった。
「ごめん、誄羅。私、先生に用事残してきちゃったから、先に帰っててくれるかな……?」
「了解しました」
 誄羅はそれだけ言うと、自分の教室の方面へと歩いていった。なんと無駄が無いこと。
「用事ってなんだ?」
 教室に向かう廊下で、俺は姫翠にそう訊ねた。俺達は意外と長く掛かったようで、ここの廊下は既にピカピカになっていて、人の姿も見られない。しかし、ゴキブリの体液のワックスねぇ……明日から転ばないようにしないと。
「え……。ん……と」
 姫翠が口ごもった。
 実のところ、俺には心当たりが無い。彼女の全てを知っているわけではないが、先生に放課後に残した用事なんて無かったように思える。
「あ、あのね……」
 そんな風に考えていると、姫翠がおずおずと口を開いた。こう、言いづらそうに言うことを無理に聞くのはやぶさかではあるが、彼女と秘密を共有するという点に置いては、どこか清々しいものを感じる。
「……二人だけでお話したいの」
 なんて、呑気なことを考えていた俺に、そんなフラグ発言。
 ギョッとして、俺は目線の少し下にある姫翠を見た。断られるのではないか、という懸念がその美麗な顔に浮かんでいる。こんな表情を見せられて、断れる男が居るものか……。
「……別にかまわないが」
 つい、と視線を逸らしてそう答えた。
「ご、ごめんね、ホントに、たいした話じゃないんだけど……」
 ……。
 人生初の転機か。それとも、本当にたいした話じゃないのか。
「大丈夫だ、帰っても寝るだけだし……」
 生粋の嘘であるが、あながち嘘でもなかったりする。上手く嘘をつくには、少しの真実を織り交ぜて、見方を変えれば嘘ではない、と信じ込むのが王道である。悪くいえば、開き直りというのだが。
「ありがとう……」
 日光の紅の光とはまた別に、彼女の顔が紅潮していたのを俺は見逃さなかった。

 彼女に「人気の無い場所」と称されてつれてこられた場所は図書室。どうしてなのか、とは彼女のセンスに委託していた俺が出せる解答が存在しないような気がする。
 文芸部の差し金によって、汗牛充棟であるこの図書室は、三年前までは半分の広さだったが、文芸部の飛躍的な発展に伴って、この図書室も飛躍的な発展を遂げた。というか、普通の高校の図書館と同レベルになったらしい。
 たまりやすい、と思っていたこの教室は意外とゴキブリの出現数が少なかったらしく、比較的綺麗なままで、人はほとんど居なかった。いや、居なかった。姫翠の言う通りに。
 俺は、備え付けのテーブルに手をつき、姫翠が開口するのを待っている。姫翠は、黄昏るように窓の外を眺めている。先程から、この光景がずっと続いている。
 まぁ、俺もそこまで狭量な心の持ち主でもない、家にゴキブリが出現するだけの話なので彼女が言うのを待っている、というわけだ。
 ……と、状況はとんでもなく単純明解なのだが……心境はそうにもいかない。
 心臓は常に銅鑼を叩いているかのように、時計の針を刻む音よりも少し速いペースで鮮明に鼓動音を脳に伝えている。
 テーブルについた手も汗ばんでいる。
 口の中が乾いてきている。唇も同様。だが、舌を出したら負けの様な気がする。
 執行前の死刑囚というのも、こんな心境で待っているのだろうか。だとしたら、俺は命を捨てずに貴重な体験をしたことになる。感謝しなければ……。
「……あのさ」
 体温の上昇をひしひしと感じてき始めたとき、姫翠が意を決したように口を開いた。自然と身構えてしまう。
 姫翠は華麗に窓から視線を外し、くるっと回って俺を見据えた。
「私……お嬢様に見える?」
「……はぃ?」
 なるほど、今の行動はそれを意識したわけか。なんとなく違和感があったから……
 ──違和感。
「やっぱり見えないよね……」
 俺が答えに窮していると、姫翠は露骨に落胆したようにしょんぼりとした。なんとなく、その姿は小さく見えた。今は夕方でよかったが、もしも午前中で光が差し込んでいたら、恐らく凄まじく絵になるような姿だっただろう。哀愁を何層にも重ね塗りしたような。
「やっぱり私は柳瀬って名前、受け取らなきゃ良かったのかな……」
 呆然と立ち尽くす俺を置いてけぼりにして、姫翠は淡々とそう呟いた。変に抑揚が無いところが、この話が真剣だということを示している。
「……まさか、養子……なのか?」
 俺の単純な推測を述べてみる。すると、姫翠は悲しげに顔を歪めた。
「うん……」
 沈黙がその場を支配した。客観的には、見つめ合う年頃の二人の男女……なんだが。
 その間さっきの質問を俺は反芻する。すると、意外とあっさりと答えが出た。単純すぎて笑ってしまうような答えだが。
「いいじゃねぇか、別に見えなくたって」
 姫翠が俺を今度は真正面から見据えた。正面と真正面の違いを露骨に突きつけられた瞬間だった。
 その双眸はうるうると涙に濡れていた。既視感がある。……確か、腹に聖剣をぶち当てられたときだったか。
「……んなコトきにするようなトコだったらさ……辞めた方が良いんじゃねえか?お前はお前らしく振舞えばいいじゃねえかよ。誰も束縛できるようなことじゃないしな、個性なんて」
 我ながら臭い。俺は表情を隠すように、額を人差し指の爪でがりがりと掻いた。
「……さっきはゴメンね……斬っちゃって」
 話が跳んだ。「殴る」じゃなくて「斬る」と表現したところに突っ込みを入れるべきか。
「あれ、わざとだったの……」
「えぇ?」
 これまた衝撃の告白。
「な、なんでんなことを……」
「……私の勘」
「勘……?」
「そう、勘。この人なら、私を支えてくれるって勘」
 俺の中で時間が止まった。
 い、今の言葉……どういう意味だ……?支えてくれる?
 窓の外の明るさが増したように見えたのは、気のせいだったのだろうか。

⇒to be countinued....



言い訳タイム。

こーいう盛り場がグダグダになるのは、霞弐の習性です。
人には何かしら欠点や苦手なものがあるのです。所以、霞弐だって人間ですもの。苦手なもんは苦手なんです。それを敢えて書いているんです。何故か、無論、慣れるためです。
というわけで、どーでしたでしょうか。ゴキちゃんの大反乱。
個人的にはちょいとながびいちゃったかな、と。その上、姫の暴君ぶりを描写できなかったのが残念。
また先送りになるのか。
というわけで、釣るのはちょっと気が引けるけど、そっちのほうが面白そうなので、斬りますっ。
続きはまたあさってということで。。。。。。ん、明後日かどうか定かじゃ有りませんが。
ん~、眠くて上手く指が動かないので、今日はこれで、御疲れ様でした~!

⇒のろのろのろのろのろのろのろのろ
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/11/13(木) 22:56:43|
  2. 明日は明日で暴風雨
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プロフィール

可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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