弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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支柱

後ろを向いても前を向いても人ばかり。無論、上を見ても人など居るわけないが、居てもおかしくは無いくらい、騒がしい。実際居るんじゃないかってくらい騒がしい。
かくいうここは、コンサート開場となった球場である。ドームでは無いので、見上げると単色で塗り潰したような濃紺の夜空が視界に飛び込んでくる。もちろん、人など居ない。
俺はそこの耳が痛くならない程度に遠く、またその範囲では一番近い席──いわゆる特等席に座っていた。右を向いても左を向いても団扇を持っている奴しか居ないのが、落着かなくてしょうがない。なんとなく場違いの様な気がする。
そして、この開演(という言い方でいいのか?)間近のこの雰囲気は、恐ろしいほど形容しにくいものだった。表には出していないが、昂ぶる興奮を無理に押し込めて、中途半端に生ぬるくなったような空気が蔓延っている。
そして、開始は唐突。
ギーンッ! と耳鳴りがしそうなBGMが鳴り響き、この観衆が目的としてここに来た人物が現れる。
マイクを絡めるようにして手で持ち、燦然と振舞う男──かつて俺に己の夢を語ってきた友人。
俺は肺の空気を抜くように深く息を吐き、背もたれに身体を沈める。観衆は抑えてきた興奮を一気に噴出させて、隣の奴は飛んでいきそうな勢いで立ち上がる。
そんな熱狂の渦の中心に立つ奴は、満面の笑みをその顔に貼り付けて、一曲目を唄いはじめる。
懐かしいその響き。繰り返し聞かされた、そのとろんとしどこか幼げであり、それでも毅然とした流暢な声。喉の奥から無尽蔵に飛びでるその声に、俺は知らずと高揚を覚える。
これが歴然とした努力の差だ。
気付けば俺も立ち上がって、その勇姿を眺めていた。こんなの、卒業後の打ち上げの時のカラオケ振りだ。

十五曲ほど歌い終わったところで、コンサートは終了。客がぞろぞろと帰っていく中、俺は関係者オンリーの通路を歩いていた。カツカツとなる革靴が、存在を誇示するかのように廊下に響いていく。
途中で舞台セットのスタッフらしき男が歩いてきて、互いに軽い会釈を交わした。その後姿を漠然と見送りながら、再び歩を進める。
奴の楽屋前まで来ると、躊躇いもなくそのノブを捻る。
中に入ると、奴は一人でソファに伸びていた。
「ん、他のメンバーはどうした?」
一応、こいつはグループで活動しているのだが、その仲間達の姿が見えない。
「シャワーだよ」
奴はノック無しに入ってきた俺を咎めるでもなく、掌を上げて応えた。
「そうか」
俺は素っ気無く応えて、奴の隣に座る。首筋に汗をかいている。それもそうか。あれだけの熱狂ぶりだったからな。
奴は俺が座ってから、安堵したように頬を緩めて呟いた。
「成功して良かった」
「文句なしの大成功だったな……」
「あぁ……助かったよ」
俺が顔を上げると、奴の得意のニヤケ面があった。
「マネージャーさん」

このお話はもろフィクションです。

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解説↓

特に意味はありません。いわゆる、意外性を衝いてみたってところです。
「俺」は正体された一般人。「奴」は大スター。と、思わせておいて、「俺」は「奴」らのマネージャーで、「奴」のことを陰で支えていたすごい人でしたとさ、という話です。別に意思はありません。突発的なものですから;
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  1. 2009/02/22(日) 21:52:49|
  2. フィクション小説(妄想)
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プロフィール

可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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