弐つの遊戯卓

【五年目】 毎日頑張ってやりくりしていきてます。物書き、音ゲーと合唱やってます。最近DTMとか始めました

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Program 第五章

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弐「………………。」
兎「後遺症で、二、三日ぽけーっとしてるの。ほっといてあげて。」
屍「……机に乗っかられても困るんだが。」
霞「すきやきできない……。」
兎「……二、三日の辛抱よ。」
屍「んっと更新のし過ぎで在庫が切れてきたっぽい。まぁ夏休み終わったし丁度いいかな。」


Program5
 外では荷馬車の行き交う音が響いている。それに乗って、商人達の活気に満ちた掛け声などが聞こえてくる。いつもの風景だ。
 クラウスは、ガラスのはまっていない窓からその光景を眺めていた。
 帝都の崩落。予測できていたのに自分は何もできなかった。唯一信じてくれた人も自ら殺してしまった。アリスには帰ってくるといったものの……彼の心臓は完全に機能を停止していた。……。
 暴動の被害を恐れた家臣たちは、クラウスを連れて田舎町にやってきて、隠居暮らしを始めた。父からの通信はなく、生きているかもどうか怪しい。
 人間たちが手をとりあって、様々な制度を作り始めて、今ではすっかり浸透している。これに納得できないもの達が、盗賊や山賊になった。こんな世界になっても尚、世界の仕組みは変わらないのである。
 半年前は田舎町だったが、今では旅人の良い休み場所となっている。そのため結構繁栄してきた方だ。
 窓から冷たい風が吹き込んできて、クラウスの顔を撫でた。窓を開けているとやっぱり寒い。クラウスは木の窓を閉めた。風は防げるものの、そとの活気までは遮ることができなくて、外の交渉の声がよく響いてくる。
 逃げてきたのは、領土の北の方の町である。あまり北に行くと、雪と氷しかないような世界に踏み込んでしまうので、そこから少し南の町である。その宿屋の一室を買い取って暮らしているのだ。
 毎日やってくる商人や、旅人の顔ぶれは変わるものの、毎日は単調な事の繰り返しである。こんな毎日が退屈で仕方がなかった。時折、外套を羽織って外へ行ってみるも、これといって面白いことがあるわけではない。
 誰かと仲良くなりたいとも思うのだが、身分を明かすことが許されてない現状では難しい。どう考えても、恐怖に怯えた人間や、国の対応に目くじらをたてるものなど居ないのに、今の唯一の身寄りである、家臣のガンディスが許してくれない。半ば強制的にここにつれてこられたのも、こいつの提案によるものだ。単純に臆病者なのだ。クラウスは好きになれない。やはり……リゼルが一番だった。クラウスの母は正しかった。
 扉がノックされて、痩せた男が一礼し入ってきた。健康的な痩せ方ではなく、やつれているという表現が一番正しいだろう。臆病者という札を顔に貼り付けている、ガンディスだ。
「朝食でございます。」
 ガンディスは、多少投げやり口調でそういって、湯気がまだ立ち上っている粥を机の上に置いた。
 彼は、大分溜め込んでいる。鬱憤だとか、憎しみだとか。そういう要素を。半年間の間。今のクラウスは彼の感情が手にとるように分かる。彼はいま、自分が一番苦労していると思い込んでいるのだ。臆病で、自己中心的な人間なのだ。
 彼のこの任を命じた家臣は、魔物に襲われて死んだ。クラウスのことを庇って、だ。
 そのとき、こいつは隠れていた。戦おうともしなかった。見ているだけだった。結局こいつしか残らなかった。
 クラウスはガンディスのことが死ぬほど嫌いだった。だが、彼を解雇にすることは書類上では不可能なのだ。現状では、ガンディスが家臣の最上級の地位にいることになっていて、その家臣は帝王によって直接治められている。その家臣に命令を飛ばすことのできる帝王は、行方不明で、死亡が確定していないため、クラウスにはそれだけの力がないのだ。故にこいつは、辞めてしまえば国の支援がなくなって、放浪状態になるためそんなことは絶対にしようとはしない。つまり、クラウスは実質監禁されているようなものなのだ。
 どのくらい痩せてしまっただろうか。あの時、リゼルに太ったと言ったのは、リゼルを自分の城に呼ぶため。アリスがついてきたのは意外だったものの、仲の良い人は多い方がいいと思った。それに面白い物をみることができたし。
 今の時代は楽しむものなのだ。そうでなければ、とっくに人類は自分たちで殺しあっているはずだ。事実、帝都周辺に生息していた狼達は理性を無くし、仲間同士で殺しあっていた。だが、人類は前向きな姿勢で、楽しんで今を生きている。
 だからクラウスはガンディスが嫌いだった。愚痴とため息の塊の様な男だ。金が国から出ないといっていたら、とっくに逃げ出しているだろう。いや、あいつのことだからクラウスのことを売り飛ばしてからだろう。そうなるのは御免だ。
 外に出たかった。窓の外から下を見ると、遥か下に地面が見える。この高さでは逃走はできない。入り口はガンディスがいる。こんなのでは気が参りそうだ。
「朝刊は?」
 クラウスが訊くと、ガンディスは舌打ちをした。前までは隠すようにしていたが、いまでは露骨にするようになっている。自分が面倒を見てやってるのになんだこいつは、という意識になってしまったのかもしれない。クラウスはガンディスとは違って、一人でも生きていける自信がある。ガンディスは双方の意味でどうだか知らないが。
「取ってきます。」
 ガンディスはそう言って部屋をでた。最初のころは、何も言わなくても持ってきたのに。とことん自分中心の人間だ。良く城の家臣になんかなれたなと思う。猫をかぶっていただけかもしれないが。
 クラウスはため息をついて、スプーンに手を伸ばした。部屋を提供してくれている宿の主人は、ガンディスに比べれば、同じ人間なのかなと思うほど優しい人だ。現にこうして温かいものを提供してくれる。北の土地だから温かいものは貴重なのに。
 ガンディスは戻ってくると、机の上に朝刊を置いた。
「ありがと。」
 ガンディスは何も言わずに入り口に座った。
 クラウスの暇潰しといえば新聞を隅から隅まで読みつくすくらいしかない。それほど暇なのだ。
 いつも通りの他愛の無い見出し。新種の魔物のデータ。遭遇者の体験談。対処法。
 天気。魔物に襲われた被害者の詳細。小説。
 そして、有名な噂話だった。
 いつもはたいした事の無い噂ばかりだ。少し前には、大男とメイド服のちぐはぐなパーティがめちゃくちゃ強いとかいう記事を見つけて、クラウスは安堵した。アリスはきちんと自分の居場所を見つけてくれた、と。メイド服を今の時代着ているのはアリスくらいだろう。典型的なメイド中毒者である。表現は悪いけど。
 そういうこともあって、クラウスは噂を欠かさずチェックしている。
 今日もいつもどおり目を通して……目を見開いた。
『幻の闇の眷族』
 こんな見出しで始まった記事をみて、クラウスは鳥肌が立った。
 ……闇の眷族。
 人類の敵であり、高度な知能と技術を持ち合わせ、魔物を世に放ったと謳われる、恐るべき種族である。
 クラウスは知っていた。あの水晶が人間を闇の眷族にしてしまうことを。リゼルは適性だったのだ。心臓に水晶を埋め込むというのは、母が遺した言葉ではない。クラウスが自分で調べたのである。城の資料室にそんな書物があったのだ。
 この闇の眷族はリゼルなのか……?それとも単なるコスプレなのか……。
 クラウスはガンディスをちらりと見た。入り口辺りで煙草を弄んでいる。……なんとかしないといけないが……どうしようか。あまり大袈裟にはしたくない。強行突破とかしたらガンディスは騒ぎ立てるだろう。自分のために。自己保身の為に。
 最後の目撃情報によると、帝都から西の地域らしい。
 クラウスはため息をついて、新聞をベッドの下に滑り込ませた。三か月分の新聞が溜め込まれている。それから、ベッドの上に横たわって目をつむった。あまり時間は残されていないかもしれない。

「ラグトってあんたのことか?」 
 くぐもったような声が背後から聞こえてきて、ラグトは肩を震わせた。妙な気配に怯えつつも、後ろを振り向くと……黒い人影があった。
(や、闇の眷族だ……)
 黒い外套で顔のほとんどを隠し、その間から赤い服が見える。血染めの服だ。想像よりも遥かにおぞましい色をしている。人の血で服を染めるなんて狂気としか言い様が無い。
 ラグトは、作業していた手を止めて、体から彼に向き直った。
「そうだけど……。何の用だ。」
 右の二の腕には、あの時の傷跡が綺麗に残っている。医者によればこの傷跡ばかりは生涯消えないと言う。この傷を見ると、あの時の光景を思い出してしまう。
「教会に知らせるつもりか。」
 ラグトはギクリとした。ポケットには、爆竹とマッチが握られていた。もともと魔物を威嚇するために常時携帯していたものだが、こういう時にも役に立つとは思わなかったのだが。読まれている。というよりもラグトがこういう事が苦手なだけなのかもしれない。
「というか、お前!どうやってうちに入ってきた!」
 ラグトは自分で声が震えているのが分かった。もう大分噂が立っている、闇の眷族。人の恐怖心を面白がるような奴だ。この魔物を作り出したのもそいつらだという。そんなのと真っ向から対峙するなんて……どこの肝の太い奴がやってもこうなるだろう。
 質問に答えたつもりか、左手でフードの裾を抑えながら、男は親指で男の後方を指差した。そこには鉄のフェンスがあって……その先は森だ。
「…………も、森からきたのか…………。」
 ラグトは手に持った鍬を両腕で抱え込んだ。こんな森の近くに畑を持っているのは、成り行きでトラウマを克服するために、ここの土地を買ったのだ。フェンスは町と森の境目を正確に表しているシンボルだった。
「そ、それで何の用だ。」
 ラグトは意を決して、ポケットから爆竹とマッチを出して捨てた。相手はその転がった自分の身を削る予定だったものに一瞥もせずに口を開いた。
「あんた、森に入って帰ってきたんだよな。一人だけ。」
 それはラグトがようやく持ち直してきた傷を無遠慮に抉る言葉だった。今でも忘れようと心がけているところだ。
「……あぁ。」
 だが否定はできない。嘘をつく相手が悪い。
「あんたの話だと、なんとか倒しきったところで、仲間が全員死んでいたとか言ってたな。自分は運良く助かったとか。」
「…………あぁ。そうだ。」
 ラグトの心臓は緊張のせいで、通常より早く脈打っている。相手の見えない眼差しが、ラグトの胸中を串刺しにしているようだ。黒い外套が不気味すぎる。
「嘘だな。」
 ラグトは目を見開いた。
 ……まずい。こいつは。本物だ。
「な、何を言って……いる。」
 ラグトは気張ろうと試みるものの、舌が震えてうまく声にだせない。鍬が両腕から滑り落ちて、派手な音を上げた。
「一人だけ逃げたんだろ。そうでなきゃお前が逃げきれるわけが無い。」
 図星だ。こいつが言っていることは正しい。
 あの時、ラグトは十二人の仲間と、森に入った。恐ろしく強い魔物が居るとの噂を聞きつけてである。
 そのときのラグト達の自信はなんといってもその数だった。十三人。レンジャーも騎士もいる。理想の、最強のパーティだと信じていた。
 森に入って砂が二回ばかり落ちたころ、レンジャーの一人が異変に気づいた。何かが居る……囲まれている!と。
 ラグトは準騎士の資格をもっていた兵士であった。だからそれなりに自分の腕にも自信があった。ラグトは吹っかけた。こいつらをやろう、と。返り討ちにしてやろう。俺たちならできる!と。
 それに勢いづいた仲間達と、交戦状態に入った。
 ……しかし、相手はとんでもない奴らだったのだ。
 リーダーが死に際にラグトに言った。逃げろ!と。
 それはラグトだけに向けた言葉ではなかったが、逃げたのはラグトだけだった。
 今でも悔やんでいる。自分の臆病さと傲慢さ。あのとき自分が言わなければ、もっと適切な処置ができたのではないか。そう考えて一時期は死をも考えた。しかし。
 駄目だった。死ねなかったのだ。死ぬ勇気が自分には無かったのだ。
「あんたは逃げて正解だったと思うよ。ここの危険を伝える人間が居ることは重要なことだからな。」
 男が言った。慰めというよりも、ラグトの揺れる心を甚振っているような言い方だ。
「何しにきた……。」
 ラグトは怒りの篭った声でそう言った。掌に深く爪が食い込んで、掌が悲鳴を上げている。
「そのあんたたちを襲ったっていうのは、集団行動をしていたといったな。集団を囲むようにして、と。」
「そうだ……。」
 ガロのかなり賢くなって大きくなっただけかと思っていたが。
「狼の様な行動。そして、魔物というと、ガロが巨大化して──」
 ──。
「鉄の様に堅い体を持っているやつだな?」
 ラグトは後ずさった。
 ……何故知っている……。
 それから目の前の男の服装を再認識して、合点がいった。
 こいつは闇の眷族だ。
 自分の生み出した魔物の事など知っている。きちんと動作しているか確認しているのだ。
「く、くそ…………。」
 ラグトは、鍬を拾って目の前の男をにらみつけると、叫んだ。
「貴様があんな奴らを作ったから、仲間達は死んだんだ!それをいかにも俺の所為みたいなことを言って、甚振ってどうするつもりだ!貴様を同じ人間だとは認めねぇ!」
 男は、別に驚いた素振りを見せずに、ラグトを見ていた。……いかにも哀れな者を見るような目で。
「仲間達を殺した魔物を恨むのは勝手だが、俺を恨むのはやめてくれ。俺は何もしてないんだからな。それよりも──」
 男が言い終わる前に、農作業で使っていた鍬を、男に向かって振り下ろした。
 ザクっと、手ごたえがあった。殺れた……。
「落着け。俺を殺したところで何も始まらないだろう。そればかりか、あんたらの最期が早まるだけだ。」
 そいつは、ガロの頭で鍬の刃を防いでいた。男は無造作にガロの頭を捨てると、正面からラグトを見据えた。
「訊きたいことが残ってる。そいつらは、あんたらが戦闘を仕掛けてから、全員で襲い掛かってきたんだな?」
「……あぁ……。そうだよ。」
 ぶっきらぼうに言い返す。なんとも下劣な奴なんだろうか。こんな事をして何になる……。
「訊きたかったのはそれだけだ。じゃあな。」
 男はそれだけ言うと、立ち去ろうとした。
 ラグトは、男が背を向けたのをみて、頬がほころぶのを抑えられなかった。
 ラグトは、さっき捨てた爆竹と、マッチを探して拾った。そしてマッチに火をつけようとして……気づいた。
 凍っている。マッチが。
「うわぁぁぁああ!!!!!」
 ラグトは思わず悲鳴を上げていた。
 本物だ。本物だった。
 世界の終わりだ!
「人は信じたいと思うものを真実と思うんだ。そう信じたいからな。残酷な真実を突きつけられると、その真実から目を逸らそうとする。その繰り返しがこれだ。」
 男が立ち止まって、背を向けたままそう言った。
「たまにどっちが正しいのか分からなくなる。それは両方とも正しくないからだ。それなら正しいと信じる方を正しいと思えばいい。でも……真実は正しい、正しくないの話じゃない。真実を受け入れる勇気も必要だ。たとえ……残酷であろうとな。」

屍「この物語の題名、Programは、題名に窮した作者が、適当につけたのであって、あんまり本編とは関係ない。とのこと。」
兎「ふぅん……相変わらずシステムが面倒ね。」
霞「じゃマァァァ……。」
屍「……邪魔だ。」
兎「命がなくなっても多分そのまんまだと思う。」

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  1. 2008/09/01(月) 22:08:19|
  2. Programシリーズ
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可児 珊士

Author:可児 珊士
大学生。
元音楽(合唱)部員。旧BASS。
ギターが欲しい年頃。
作家志望。
本陣:埼玉
カラオケ行くと声的な意味で別人化。

アイコンは柊氏より頂きましたΣd(゚∀゚d)

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